Budapest でCS を英語で学ぶ選択肢として、多くの日本人が最初に迷うのが BME と ELTE のどちらに出願するか。私は BME 在籍なので、当然 BME の内部情報が中心になりますが、ELTE の学生・教員からの伝聞情報も含めて、この記事で整理します。
結論から言うと、「大学の質」で見ると2校に大きな差はありません。どちらも同レベル。じゃあ何が違うのか。それを5つの観点で見ていきます。
| BME | ELTE | |
|---|---|---|
| 学部期間 | 3年半 | 3年 |
| 物理の授業 | あり | なし |
| Computer Architecture (Hardware) | あり | なし |
| 秋休み | なし(1日のみ) | 2週間 |
| 方向性 | 工学寄り・実装重視 | 数学寄り・理論重視 |
まず前提として、「BMEの方が優れている」「ELTEの方が劣っている」ということはありません。両大学とも国内トップ校で、卒業生は EU 圏内・グローバルの大手企業に普通に就職していきます。
「どちらの方がレベルが高いか」で悩むのは時間の無駄です。大事なのは、自分がどちらのスタイルに合うか。以下の4つの違いを見て判断してください。
ELTE 側の教授と話した中で、はっきり違うと分かったのが以下の2点。
大雑把に言うと、BME は「エンジニア養成」の色が強い工学系、ELTE は「理論・アルゴリズム」寄りの理学系。ソフトウェア開発だけをやりたいなら ELTE でも足りますし、ハードウェアやシステム全体まで理解したいなら BME の方が向いています。
ELTE は3年で卒業、BME は3年半かかります。半年の差、意外と大きいです。
半年分の生活費、学費(奨学金なしの場合)、そして「早く働きに出られる」という機会費用。金銭的にも時間的にも、この差は無視できません。特に自費留学の方、あるいは修士まで進むつもりの方は、この半年の意味を考えておく価値があります。
逆に「じっくり時間をかけて工学系の基礎を積みたい」なら、BME の3年半は投資として正当化できます。
ここは BME vs ELTE の話ではなく、ハンガリーの大学全般の話ですが、留学前に絶対に知っておくべきことなので入れました。
ハンガリーの大学のカリキュラムは、科目同士がリンクしているのが特徴です。ある科目を落とすと、次学期以降でそれとリンクしている科目も履修できなくなる。結果、1つの落単が芋づる式に響き、卒業が遠のいていく設計になっています。
BME の学生メンターに聞いた話では、入学者の 1/3 が留年、1/3 が中退、1/3 がストレート卒業、というのが感覚的な数字らしいです。年度によって当然変わりますが、雰囲気として掴んでおくといい数字。
中退のケースは全てが「ついていけなかった」ではありません。私の同期には、BMEに在籍しながら他大学の奨学金にチャレンジして勝ち取った人が複数います。アメリカ人の同期は、アメリカの別の大学のCS専攻でフル奨学金を勝ち取り、そちらに移りました。アフリカから来た同期は、ハーバード大学のCS専攻でフル奨学金を勝ち取り、アメリカに渡りました。BME はキャリアの「中継地点」としても機能します。
1/3 のストレート卒業組に入るためのコツは、「1年目に落単しないこと」に尽きます。ここで踏ん張れば、あとは連鎖的な遅延を回避できます。
ELTE には秋休みが2週間程度あります。BME にはありません(代替として1日だけ休みが設定されています)。
「たかが2週間」と思うかもしれませんが、これは結構大きい。秋休みがあれば、この期間にヨーロッパ各国へ旅行に行けます。私が BME に居て一番羨ましいのがここ。旅ページに書いた通り、Budapest からは ヨーロッパ全土が驚くほど安く近いので、まとまった休みがあれば体験の幅が変わります。
「勉強だけじゃなく、留学中にヨーロッパを旅したい」なら、ELTE の秋休みは魅力的です。逆に「秋休みが特に必要ない」なら BME でOK。
ELTE を選ぶ方がいい人
物理は避けたい/早く卒業したい/秋休みが欲しい/理論・アルゴリズム寄りの学問に興味がある
BME を選ぶ方がいい人
実装まで手を動かして学びたい/ハードウェアとソフトウェアを両方理解したい/じっくり時間をかけて工学の基礎を積みたい/就活で工学系の看板を活用したい